2025/01/11
会計こんにちは!中小企業診断士のbacana(バッカーナ)です!
本日は、電子帳簿保存法について触れたいと思います。
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法は、以下の目的で制定されています:
ペーパーレス化の推進:
企業が紙の書類を電子データとして保存することで、コスト削減や業務効率化を図ることができます。
電子取引の促進:
電子メールやオンライン取引で発行された請求書や領収書などの書類を、電子的に保存することが義務付けられています。
電子帳簿保存法には、保存する際に満たすべき具体的な要件が定められています。主な要件は以下の通りです。
1. 電子帳簿等保存
対象:
自社で作成した国税関係の帳簿や書類。
要件:
保存されたデータは、整然とした形式で明瞭な状態で出力可能であること。
データの改ざんを防ぐための措置(例:タイムスタンプの付与)が必要です。
2. スキャナ保存
対象:
紙の書類をスキャンして電子データとして保存する場合。
要件:
スキャンしたデータは、原本と同一の内容であること。
スキャン後のデータは、適切に管理され、必要に応じて出力可能であること。
3. 電子取引
対象:
電子的にやり取りされた取引情報(例:電子請求書)。
要件:
保存されたデータは、真実性と可視性を確保する必要があります。
真実性の確保には、データの改ざん防止措置(タイムスタンプなど)が求められます。
可視性の確保には、必要な情報が容易に確認できる状態で保存されていることが必要です
タイムスタンプの基本概念
タイムスタンプとは、電子データに特定の日時を付与する技術であり、主に以下の2つの目的があります。
存在証明: タイムスタンプが付与された時刻に、そのデータが存在していたことを証明します。
非改ざん証明: タイムスタンプ付与以降にデータが変更されていないことを証明します。
これにより、データの信頼性が担保され、改ざんのリスクを軽減します。
改ざん防止の仕組み
タイムスタンプがデータの改ざん防止に役立つ具体的な仕組みは以下の通りです:
1. ハッシュ値の利用
タイムスタンプは、データのハッシュ値と時刻情報を組み合わせて生成されます。
ハッシュ値は、データの内容を特定のアルゴリズムで変換したもので、元のデータがわずかでも変更されると、
ハッシュ値も変わります。この特性を利用して、データが改ざんされたかどうかを確認できます。
2. 時刻認証局(TSA)の役割
タイムスタンプは、第三者機関である時刻認証局(TSA)によって発行されます。
TSAは、データのハッシュ値に時刻情報を結合し、改ざんが不可能な状態で保存します。
これにより、タイムスタンプが付与されたデータは、付与された時刻以降に変更されていないことが証明されます。
3. 検証プロセス
データの改ざんが疑われる場合、元のデータから再度ハッシュ値を計算し、
TSAが発行したタイムスタンプに含まれるハッシュ値と照合します。
この2つのハッシュ値が一致すれば、データは改ざんされていないと確認できます。
逆に不一致であれば、データが変更された可能性が高いと判断されます。
タイムスタンプの利点
信頼性の向上: タイムスタンプを利用することで、電子データの信頼性が向上し、法的な証拠としても利用可能になります。
業務効率の改善: データの改ざんを防ぐことで、後の確認作業やトラブルを減少させ、業務の効率化が図れます。
コンプライアンスの強化: 特に電子帳簿保存法などの法令に準拠するために、タイムスタンプは重要な要素となります。
タイムスタンプは、電子データの改ざん防止において非常に効果的な手段であり、デジタル時代におけるデータの信頼性を確保するために欠かせない技術です。
電子取引データ保存の義務化は、2024年1月1日から施行され、すべての法人および個人事業主に対して適用されます。
この改正により、中小企業に与える具体的な影響は以下の通りです。
1. 業務プロセスの見直し
中小企業は、電子取引データを電子的に保存するために、業務プロセスを見直す必要があります。
これには、以下のような変更が含まれます。
2. コストの増加
新たなシステム導入や業務プロセスの変更に伴い、以下のようなコストが発生します。
3. 法令遵守の必要性
電子帳簿保存法に従わない場合、罰則が科せられる可能性があります。これにより、中小企業は以下の点に注意を払う必要があります。
4. 業務効率の向上
一方で、電子取引データの保存義務化には業務効率の向上というメリットもあります。
5. 中小企業への影響の総括
電子取引データ保存の義務化は、中小企業にとって業務のデジタル化を促進する一方で、
初期投資や運用コストの増加、法令遵守のための体制整備が求められるなど、さまざまな影響を及ぼします。
これにより、企業は新たな挑戦に直面することになりますが、適切な対応を行うことで、
業務効率の向上やコスト削減の機会も得られるでしょう。
2024年1月1日以降、電子取引に関する書類は、原則として電子データで保存しなければならなくなりました。
これにより、紙での保存が認められるのは、元々紙で発行された書類に限られます。
この法律により、企業は電子データの保存に関するルールを遵守する必要があり、特に中小企業にとっては、
業務フローの見直しやシステムの導入が求められることになります。